Focus On
田中慎也
BIJIN&Co.株式会社(ビジンアンドカンパニー)  
代表取締役
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター …
ファンズ株式会社 藤田雄一郎
代表取締役CEO
1980年生まれ。埼玉県出身。早稲田大学商学部卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。2007年にマーケティング支援事業を行う企業を創業し、2012年上場企業に売却。2013年に大手ソーシャルレンディングサービスの立ち上げに経営メンバーとして参画。2016年11月に株式会社クラウドポート(現ファンズ株式会社)を創業。
『ゼロ・トゥ・ワン』著:ピーター・ティール スタートアップを始めたい人 数ある戦い方の一つだと思いながら |
人を無性に挑戦へと駆り立てる本というものが、この世にどれだけあるだろう。こと起業やスタートアップといった文脈に関して言えば、『ゼロ・トゥ・ワン』は間違いなく名前が挙がる良書である。そこにあるのは単なる成功者の体験談ではない、未来の社会の担い手たる人の心に火をつけるメッセージだ。 もともと労働集約型のスモールビジネスで起業していたからこそ、0から1を生み出しながら急速に成長し、社会に大きなインパクトを与えていくスタートアップのダイナミズムに惹かれたと語る藤田氏。もちろん前者には前者の素晴らしさや価値がある。けれど、同じようにスタートアップを始めたいと考える人にとっては、間違いなく読んで損はない一冊であるという。 |
挙げられる人は多いかもしれませんが、まさに僕がスタートアップというものに興味を持ったきっかけの一つが『ゼロ・トゥ・ワン』でした。本の中でピーター・ティールさんは、多くの人は賛成しないけれど自分だけが知っている「隠された真実」というものがあり、そういったアイデアこそがスタートアップにおいては大事であるということを仰っていて、それは今でもすごく意識しているかと思います。
この本を読んだのはちょうどファンズを創業する前、スタートアップを意識しはじめた頃じゃないですかね。まさにファンズの事業自体も一種の「隠された真実」というか、当時はクラウドレンディング*のようなサービスが国内にすごく少なくて。これは絶対に伸びるなと自分は思っていたけれど、周りの人はあまり知らないという状態でした(*インターネット上で不特定多数の人から出資を募り、資金を調達する仕組み。なかでも支援者へのリターン方法が、得られた収益を配当金として分配する形式のもの)。
実際に創業してからも「上場企業にそんな資金ニーズはないよ」とか、「そんなに低い利回りのものは売れないよ」といったことをよく言われたのですが、自分の中では確信を持って進めていったなかで形になってきた。現在子会社であるファンズ不動産についても、社内外から懐疑的な声も多かったのですが、結果としては軌道に乗って、グループとしての拡張性や可能性もすごく高まっているので、やって良かったと思っています。
やはりみんなが諸手を挙げて賛成するものだけではなくて、多くの人が反対するけれど自分は「隠された真実」だと知っていて、これはいけると思っているもの。そういった事業にこそ大きな可能性があるということを教えてくれた本だと思います。
大きく張っていくことなどは、この本から学んだ部分が大きいですね。以前いた会社はどちらかと言うと堅実に着実に成長していくモデルだったのですが、いわゆるスタートアップ的な戦い方というか、まだうまくいくかどうか分からなくても大きく調達して、赤字を掘りながら力強く進めていくといった戦い方は、この本から(そして共同創業者であり連続起業の経験を持つ柴田陽さんから)学ばせてもらったと思っています。
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