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私のきっかけ ― 『心。』著:稲盛和夫

社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。



… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター 

株式会社HataLuck and Person 染谷剛史

代表取締役CEO

1976年生まれ。茨城県出身。1998年、リクルートグループ入社。中途・アルバイト・パート領域の求人広告営業に従事。新人賞を受賞。マーケットプロデュース部門に異動し、WEB・モバイル系新商品開発に従事。2003年、株式会社リンクアンドモチベーション入社(東証一部上場)。大手小売・外食・ホテルといったサービス業の採用・組織変革コンサルティングに従事。2012年には同社執行役員に就任。以後も新規事業開発(グローバル事業立ち上げ、健康経営部門の立ち上げ)を経て、サービス業に特化した組織人事コンサルティングカンパニー長を担う。2017年、株式会社HataLuck and Person(旧 ナレッジ・マーチャントワークス株式会社)を設立し、代表取締役に就任。多店舗展開型企業の経営・組織変革を目的にサービス産業に特化したプロダクト「はたLuck®︎」の開発・提供を行う。

https://corp.hataluck.com/






     人生のきっかけ    
 『心。』著:稲盛和夫

 こんな人に読んでほしい 
 弱い心に負けそうになっている人

 こんな風に読んでほしい 
 一歩踏みとどまって私心と闘いながら

一筋縄ではいかない難しい局面や葛藤にさらされたとき、思わず自分にとって楽な方向に流されそうになったり、大義を見失いそうになったりしてしまうのが人の心というものだ。経営のように、一つひとつの判断に重い責任を担う人であれば、尚更その重圧は大きくなる。しかし、どんな場面でも人は強くなれる。
人としての在り方にまつわる普遍的な原理原則を説きつづけ、「経営の神様」とも言われた故・稲盛和夫氏。その教えの根幹を成すものが「心」である。長年、コンサルタントとして数々の人や組織、そこにある心というものに向き合い、読み解いてきた染谷氏も稲盛哲学に救われてきたという。



作品の紹介

きっかけとなった作品はありますか?

経営者になる前から稲盛和夫さんの本は読んでいて、なかでも『心。』に書かれた「動機善なりや、私心なかりしか」という言葉は、経営者として何かを決めるときや、仲間を募っていくとき、一番大切なことだと思っていますね。


人生の思考の変化

その作品との出会いは?


リンクアンドモチベーションで役員をやっていた頃から、役員というものは現場の一般社員だとどうしても答えが出ないようなことに答えを出さないといけない役割なので、倫理との葛藤があったりして。そのときに、何をもって自分は判断すればいいのか、拠り所となるものが自分の中にもっと必要だなと思って、経営哲学的なことを言ってらっしゃる経営者の本を結構読んでいたんです。


結局相反するものを統合したりするときには、誰かの倫理と誰かの倫理がぶつかり合うわけなので、人の心を震わせるような言葉だったり考え方だったり、「あなたのためにやる」と言ってもらえるようなものがないと人は動かないんですよね。


そのときに自分がどんな心境で説明したり、判断するのか。つまり、動機が善なのか、私心がないのかという部分は絶対にみんな見ているんですよ。もし「お金のために判断したな」とか、「みんなが嫌いだからそうしたんだろう」とか思われるようなことがあれば遺恨を残してしまう。だからこそ、心が大事なんだなと思いました。


作品が影響を与えた行動

その作品から何を得ましたか?


今もそうですが、僕のところに上がってくる問題は現場ではどうにもならなかった問題なので、そのときは常に「動機善なりや、私心なかりしか」という言葉に立ち返っています。


結局どっちを取ったとしても0か100にはならなくて、51%のメリットと49%のデメリットでしかなかったりする。だとしたら、自分は信念を持って意思決定をする。ただ、デメリットが出ることも分かるから、今度はデメリットが出過ぎないように反対に振り子を振る。いわゆる時間軸を使った振り子経営というものが、僕の中の経営の軸になりましたね。


振るなら思いっきり振る、でもなぜ振るのかをきちんと「動機善なりや、私心なかりしか」で説明できる状態にする。稲盛さんは振り子経営については言及していませんが、そういうことなんだと理解したんです。




染谷剛史の生き方がここに


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