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廣瀬高志
スタディプラス株式会社  
代表取締役CEO
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
… 今回作品をご紹介いただいたイノベーター …
株式会社クジラボ 森實泰司
代表取締役
1986年生まれ。福岡県出身。大学卒業後、ソフトバンク株式会社にて法人営業に従事。株式会社リクルートにて採用コンサルタントとして多数MVPを獲得したのち、株式会社キュービックにて拡大期におけるITベンチャー企業の人事責任者として採用・人事企画定などに携わる。独立後、2019年より学校法人の事業を承継し、私学経営を行うかたわら、教育現場における構造的な課題に直面した経験から、2021年に株式会社クジラボを創業。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?―経営における「アート」と「サイエンス」』著:山口周 自分の特異性に悩む人、異なるタイプが理解できずに苦しんでいる人 フラットな気持ちで |
しばしばビジネスの世界では二元論が語られてきた。相反する人の特性を挙げ、組織に貢献するのはどちらの人材かと議論されたりする。しかし、ますます複雑化・不安定化する昨今の社会では、そんな風に偏った価値観を支持することは有効ではないと本書は提言する。「美意識」という曖昧かつ非論理的な人の感覚こそが価値となり、多様な価値観を共存させることにこそ、組織の力を最大化させる道があるという。 小学生の頃はピアニストを志し、自己表現や芸術性、感性の世界を心の拠り所としてきたと語る森實氏は、本書に救われた読者の一人である。人の内なるエネルギーに限界はない。本書を読むことで、あなたもその可能性を解き放つことができるかもしれない。 |
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』という山口周さんの本ですね。あれはものすごくバイブルで、本当に救われた本の一つです。
内容としては、アート・サイエンス・クラフトという3つのフレームワークがあって、そのバランスが大事だという話をされている本で。サイエンスは、コンサルティングファームのようにロジックで考えていく世界ですよね。アートは「こっちの方が美しくない?」とか、根拠はないけどなんとなくそう思うという感性の世界のことで、でもなぜかそこに価値があると人は思うと、そんなことが語られています。
出会いはキュービックで働いていた時で、2018年ですね。
自分自身のルーツとしても幼少期ずっと音楽をやっていて、自分が美しいとか素晴らしいと感じる表現をする、発表会に向けてそれを究めるということに全神経を注いできたところから、今もそのアート的な根幹は変わっていなくて。それが重要なんだよということを、ある意味きちんと客観的なビジネス視点で語ってくれている本だったんですよ。
ピアノの世界を降りて以降、ずっとビジネスの世界ではなんとなく自分のキャラクターとして、ビジネスマンのふりをして闘ってきたような感覚だったんです。少しロジカルっぽく振舞うとか、できる感を出したいとか。
本当はそんな人間ではなくて、ただのアーティストなんだと。自分の表現で観客を感動させたいだけ、でもそこに価値があるんだと本では語ってくれていて、ビジネスの世界でもそんな自分を肯定することができました。
バランスが大事なんだという学びがあって。アートだけでもだめだし、サイエンスだけでもだめ、クラフトだけでもだめで、この三者がバランスよく保たれていることがすごく大事だということをクジラボの経営でもものすごく意識しています。
僕一人だとアートが強くなりすぎてしまうから、自分の意思決定にきちんとサイエンス的な要素を組み込むよう意識したり、何かの事象が発生したときにすぐ反応せず、ほかの視点ないかと一歩立ち止まったりできるようになりました。
あとは自分が苦手なタイプの人にも意見を聞いてみようとか、そういう人を採用しようとかですね。組織にはいろいろな人が必要で、自分と同じタイプの人ばかり集めてもうまくいかないし。最終的にはどれが間違っているとか正しいとかはなくて、物事を多面的に見たり、自分の視点や価値観が偏りがちなんだということを自覚できることがおそらく大切で、それによって意思決定の質を上げられるのだと思います。
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