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スター・ウォーズ/ヨーダが教えた「成長する人・しない人」

1977年の公開以来、色褪せることなく今も世界中で愛されつづける映画『スター・ウォーズ』シリーズ。壮大な宇宙を舞台にした物語は全10作以上が公開され、いまも全米の歴代興行収入トップに君臨している。


映画としての魅力もさることながら、その作中には知る人ぞ知る珠玉の名言が散りばめられている。


そのうち今回は、本シリーズの大ファンであるとも語る北川から、人生やビジネスに活きる教訓の一つを紹介してもらった。



北川雅洋に学ぶ ヨーダのアンラーン


01【成功法則】成功するために必要な、成功体験の考え方

02【両者の違い】アンラーンができない人とできる人




01【成功法則】成功するために必要な、成功体験の考え方


努力が報われた記憶は、誰にとっても特別なものだ。


成功体験や経験則、頼りになった先人の教え。過去の成功に結び付いた記憶は、力となり自信となる。しかし、同時に潜む「成功体験の弊害」に目が向けられることは少ないのではないだろうか。



■ヨーダに学ぶアンラーン

北川は、名作映画『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』のワンシーンに触れながら語る。


「主人公であるルーク・スカイウォーカーが、ヨーダと出会い修行をつけてもらっているシーンです」


未開の沼地とジャングルが広がる銀河系のとある星。悪を打ち倒すジェダイの騎士として、フォース(作中で物体を感知したり、動かしたり、他者の思考に影響を与えたりできる神秘の力のこと)を操る術を学ぶため、はるばるヨーダの元を訪れたルーク。小柄な緑の老人ヨーダは、沼に沈みゆく宇宙飛行船を、フォースの力で持ち上げるよう命じる。対してルークは、その大きさにたじろぎ「できっこない」と弱音を吐いている。


「その時、ヨーダが一言こう言うんです」


You must unlearn what you have learned.


「一回学んだことを全部捨てないと、お前がやろうとしている新しいチャレンジはできないよと。これは割と深い言葉です」


小さな石ならば、なんとかフォースで持ち上げることができた。でも、それよりはるかに大きな宇宙船なんて持ち上げられるわけがない。新たな挑戦であるのにもかかわらず、過去の学びを拠り所に判断してしまうルーク。


ここに、成功体験を持つほど陥りやすい罠がある。(できるかできないかは「大きさ」の問題ではないのだとヨーダに諭されながら、物語は進んでいく――)



■変化する世界におけるアンラーンの重要性

ヨーダのセリフに登場する「アンラーン(unlearn)」とは、過去に得られた学びを意図的にリセットし、目の前の新しい状況から学び直すことである。


複数社でCEOやCOOを務めるなど、新たな世界の連続の中に身を置いてきた北川は、そこに込められた人生の重要な教訓について語る。


すなわち、過去の成功体験は必ずしも未来の自分を助けてくれるものではなく、ときに先入観や固定観念となり、成功を阻む障害となりうることに注意しなければならないということだ。


「既成概念や成功体験をアンラーンしないと、新しい挑戦はできない。だって、次元が違うものだから。過去の積み上げではできないということです」


誰しも苦労して手にした知識や成功体験を、自らの未来にとっての「障害」とみなすことは難しい。特に、未知に立ち向かうとき拠り所が欲しくなるのは、人としての性なのかもしれない。


しかし、仏教に諸行無常という言葉があるように、同じ状態のまま存在しつづけるものはこの世に一つもない。過去の法則が今も当てはまる保証はないのだ。


リセットができれば物事に勝手な前提をつくることがなくなる。全てが研ぎ澄まされ、新たな世界に必要な事柄に意識が向かっていくはずだ。


過去の成功のフレームに目を曇らせず、現実をありのままに捉える視点を持つ。学んできたことを解きほぐし、必要に応じて古いものを捨てたり、新しいものを取り入れて再構築する。


変化が激しく、世界の常識が次々移り変わる現代において、アンラーンの重要性は一層高まっているといえるだろう。



 POINT 
・ 新たな挑戦に向かうとき、過去の成功体験が固定観念となり成功を阻むことがある
・ 過去の学びをリセットし、新たな学びを取り入れる力が大切




02【両者の違い】アンラーンができない人とできる人



いくつになっても学びを重ねる人と、学びを止めてしまう人がいる。その差はどこにあるのだろうか。


「執着するものはアンラーンの邪魔になる。プライドと言ってもいいかもしれません」


学んできたことが通用しなくなっているにもかかわらず、過去の成功体験に従いつづけてしまう。頼りにしてきた意思決定のフレームをなかなか捨てられず、いつまでも過去の経験を起点に考えてしまう。


そんな執着の存在が、しばしばアンラーンを阻む壁になると北川は語る。


「たとえば、すごく良い大学を出たりすると、そこで成長が止まることもあって。今まで遊ばずやってきて、ピークが終わってしまっているから」


ここまでやってきた……。そう過去に思いを馳せつづけながら、今の歩みを止め、未来を見ない。それを「執着」と呼ぶ。


「でも、20代で成長が終わる訳ないじゃないですか。とにかく成功体験から何から全部忘れて空っぽにして、もう一回できる人は能力が高いし、(そうありつづける限り)いつまでも成長できます」


人それぞれの執着を手放し、今や未来に心を向ける。そうしてアンラーンしつづけられる人こそが、常に成長し成功を掴みつづける。


世代や年齢は関係ない。望む未来を引き寄せたいと願う全ての人に、必要であり可能なことだ。



 POINT 
・ 執着するものがあるとアンラーンの邪魔になる
・ 成長を止めない人であるためには、過去ではなく今や未来に心を向けること




2021.05.05

文・Focus On編集部




北川 雅洋

株式会社インプレスホールディングス 顧問

幼少期から音楽やアート、デザイン、写真、メディア、グローバルなものの見方などに強い関心を持ち、青年時代はミュージシャンとして活躍した過去をもつ。創業期のソフトバンクに入社後、孫正義氏の側近として活躍。その後、米国ソフトウェア会社のVP兼日本子会社社長(本国の本社はNASDAQ上場)やイスラエル企業のEVP兼日本上陸時責任者などを務めた。現在までに、オープンインターフェース社副社長、パシフィックシステムソフト社社長、ブークドットコム社社長、イングリッシュタウン社CEO、エスプリライン社COOなど要職を歴任。現在はインプレスホールディングス顧問兼、株式会社ICE取締役相談役を務める。

https://www.impressholdings.com/


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