Focus On
幾嶋研三郎
株式会社Globee  
代表取締役社長
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
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株式会社ワンダーラスト 堀江健太郎
代表取締役
1985年生まれ。東京都出身。外資系コンサルテイングファームにて5年間、戦略・組織コンサルタントとして活動。その傍らで200名超の海外旅行者を自宅にてホストし、訪日外国人向けのNPO法人の立ち上げの後、”旅を通じて人々の心から国境をなくす”というミッションのもと、2013年6月に株式会社ワンダーラストを創業。
http://www.wanderlust.co.jp/index.html
―きっかけとなった作品はありますか?
アンドリュー・カーネギーという人の『富の福音』という本があるんですが、これはまさに今の僕の価値観を作っています。
彼はスタンダード石油を設立し「鉄鋼王」と呼ばれたお金持ちなんですが、お金持ちになりすぎて、晩年、有り余る富をどう使うのが人間として一番高貴なのかを考えて、この本を書いているんです。
―その作品との出会いは?またその出会いによって、どんなきっかけが生まれましたか?
手に取ったのは、僕が日本IBMにいたときですね。2010年とか2011年くらいですかね。
社会人になってから特に本の虫だった時期があって。有名と言われるビジネス書、いわゆる「必読●●」とかああいうのに書いてあるものを片っ端から買って読んでたんですが、その中の一冊だったと思います。
カーネギーはその財産で、アメリカに図書館をいっぱい作ったんですよ。彼が気づいた一番有効な富の使い方は、「本人が選択できないことによる不平等をなくすこと」だったんです。
彼は、努力しない人が幸せになってほしいとは思わないけれど、努力した人は平等に結果が得られる世の中を作るべきだという考えを持っていて。図書館で無料で勉強ができれば、頑張った人はちゃんと成果になるじゃないですか。でも、そもそもその環境がなければ、お金がない人たちは勉強もできない。
そういう風にお金を使っていくと書かれていたことに、すごく感動して。自分もそういう価値観で生きていきたいなと思いましたし、「平等」ってただ単純にお金を配るとかじゃなく、やっぱり人間の中にはいろいろな意思があるものなので、「意思がある人たちの中の理不尽をなくす」ということなんだと思いました。
―その作品から何を得ましたか?
理不尽をなくすためにお金を使うこと、それ自体が、とにかくかっこよく見えました。こんな形で死ねたら超クールだなと。
今生きている経営者だと、ビル・ゲイツも200兆円くらいの財団をつくって、どんどん病気をなくすプロジェクトに投資してると思うんですが。ああいうことをできるようになりたいなっていうのは、今自分がお金を稼ぐモチベーションの一つにはなってますね。
そもそもそう考えるようになったのも、社会人になってからの経験が大きいと思います。
当時いた会社では、頑張って成績を出せばすごいレバレッジで給料が上がったんですよ。最初は楽しかったですし、自分が評価されることも嬉しかったです。ただ、前の年600万だった給料が、次の年に800万になったところで幸福度が変わったのかっていうと、正直そうでもないなと思って。(僕がその年収額で満足してしまったという部分もあるんですが……)。だから余計に、外からのフィードバックを求めるようになったんだろうなと思います。
自分が働いて時間を投資して、そこに対して会社からお金が返ってくる。でも、それだけじゃ僕は満足できないんだなと。自分がやったことで誰かが笑顔になるとか、そういうことにつながっていないと僕はたぶん仕事をやれない。自分にはそっちの方が報酬として大きいんだなということを感じていました。
―ありがとうございました。
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