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大石裕明
株式会社Catallaxy  
代表取締役社長
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or社会に思いをもって行動するイノベーターたちは、その半生の中でどのような作品(書籍・音楽・映像など)と出会い、心動かされてきたのでしょうか。本シリーズでは、社会に向かって生きる方々にお話を伺い、それぞれの人生の“きっかけ”となった作品をご紹介していきます。
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株式会社Catallaxy 大石裕明
代表取締役社長
1990年生まれ。2013年に学習院大学経済学部卒業後、キングソフト株式会社入社。在籍中にNYSE上場企業である北京の奇虎360社にプログラマーとして出向。2015年に多数のWebシステム開発を個人で請け負ったことで合同会社Catallaxyを設立し、代表就任。2年で計8社のスタートアップや中小企業の社外CTO的なポジションを務める。その中でも、実家である仁科建設株式会社のWebサイト作成を請け負ったことで、二次産業×ITの可能性に気づく。2018年より、製造業紹介メディア「Fabit」と金属加工取引プラットフォーム「Mitsuri」を運営。株式会社Catallaxyに改組。
―きっかけとなった作品はありますか?
オーストリア学派経済学を代表する学者であるルートヴィヒ・フォン・ミーゼス(訳:村田稔雄)の『ヒューマン・アクション―人間行為の経済学(春秋社)』という本ですね。これは結構コアな本で、1冊2万円くらいします。
経済学の本なんですけど、経済だろうが組織だろうが結局は個人と個人の営みであると。その考え方に基づいて、人間行為とは何ぞやということが1200ページくらいで詳しく書かれているんですよ。
―その作品との出会いは?またその出会いによって、どんなきっかけが生まれましたか?
僕がミーゼス研究所で経済学を学んでいたときに出会いました。
これを読むと人間行為の1単位が分かり、それがあらゆるところに応用できるということが分かりました。つまり、原理原則として、人間は自分が考えうる選択肢の満足度と不満足度をそれぞれ比較して、満足度の高い方に行動していくという概念です。
たとえばある経済学派では、人間はエコノミーの生き物だから、お金が儲かるか儲からないかで動くと考えるんですが、それは違うと。その考え方だと、募金のような行為は否定されるべきものになってしまいます。
でも、そうじゃない。人間の行動はお金とは関係なくて、1単位の行動が自分の満足度・不満足度で規定されるべきだと考えるんです。それをどんどん掘り下げていって、社会のあるべき姿とは何かを考えると、必然的にリバタリアニズム(自由主義*)の考えに行きつきます。僕自身リバタリアン(自由主義者)なんですよ(*個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する、自由主義上の政治思想・政治哲学の立場。他者の身体や正当に所有された物質的、私的財産を侵害しない限り、各人が望む全ての行動は基本的に自由であると主張する。https://ja.wikipedia.org/?curid=68347より)。
―その作品から何を得ましたか?
原理原則が書かれた本なので、これが基本となって、どういう価値判断をすればいいかが分かるという意味では、本当に僕の中での基本の書です。今まで自分がどういう価値判断基準でやってきたか、より輪郭がはっきりとして言語化されましたね。
たとえば組織の意思決定に関しても、これは果たして強制にあたるのかとか、功利主義によって誰かの自由を奪っていないかと考えられるようになりました。
―ありがとうございました。
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